働き方の改革「東京モデル」事業
平成22年8月に選定され、約半年間プロジェクトに取り組んできた4社から、このたび東京モデル
プロジェクト指定委員会へ進捗状況について報告がありました。 報告及び、委員と各企業との質疑
応答を経て、委員会より各プロジェクトについて下記のとおり評価と助言がありましたので、ご紹介い
たします。
株式会社アルビオン
多様な社員が働き続けることのできる環境整備と、事業所内保育所の新しい活用の
検討に取り組んでいます
◆化粧品の製造・販売等
◆プロジェクト名
中規模事業所におけるWLB推進と、事業所内保育所を活用した待機児童削減プロジェクト
委員会からの評価・助言
事業所内保育所の相互利用を目指して真摯に取り組み、事業所内保育所を有する他企
業数社と検討を進めている。先駆的な取組であり、実現にいたるには、法律上または運
用上、解決すべき様々な課題があると思われるが、課題と詳細な実行案を早期に作成し
今後より一層、相互利用の取組を推進してほしい。
自社の事業所内保育所利用者に関して、自家用自動車での通勤を認めるなど、通勤課
題の解消等にも柔軟に取り組んでおり、利用者の事情を考えた具体的な支援策の実施
が評価できる。
また、女性の旧姓利用制度の導入や、個々の従業員の社会貢献活動への参加促進等、
実施可能な部分について具体的に進めている。
今後、事業所内保育所の相互利用に向けた取組に加え、在宅勤務制度の設計・導入や、
管理職の意識改革など、多様な取組を予定しており、一層マンパワーも必要になると思わ
れるため、推進体制を強化して全社的に取り組む等、今後の着実な進行を期待している。
株式会社タカラトミー
グループ8社で連携し、階層別の業務効率化研修や在宅勤務のトライアル等に
取り組んでいます
◆玩具等の企画・製造・販売
◆プロジェクト名:東京モデル推進プロジェクト~WLBドリームプラン実現に向けて~
委員会からの評価・助言
在宅勤務のトライアル、職層ごとの意識改革研修、有給休暇の取得促進等、多様な計
画を積極的に着実に進めている。また、社員、労働組合、株主、グループ8社等、プロジェ
クトの普及啓発活動を多角的に行い、全体として取り組んでいる姿勢も評価できる。
今年度の成果や従業員調査結果を丁寧に検証し、その分析を次年度の計画に活かして
23年度以降、ワークライフバランスに向けた意識改革の更なる推進、専任担当設置、モ
バイルワークを含めたテレワーク環境の整備、育児だけではなく介護も含めた両立支援、
女性社員のキャリア開発支援等の新たな取組を加え、プロジェクトを強化している。
今後、こうした有益な取組を展開していくにあたって、仕事と介護の両立と、育児と介護
の両立の場合では必要な支援が質的に異なる点を考慮に入れたり、女性社員のキャリア
開発支援のために社内事例に加えて社外の事例・ネットワークも活用する等の工夫をす
ると、さらに効果的に推進できると思われる。
今後も、今年度に引き続き事業が積極的に推進されることと、その成果を期待している。
日本通運株式会社東京航空支店
「働き方改革」実現のために、経営層・管理職層の意識改革や、組織ごとの
業務改革から始めています
◆運輸業(自動車輸送、海上輸送、利用航空輸送等)
◆プロジェクト名:日通航空「ひとりひとりがライフデザインを実現できる企業へ」プロジェクト
委員会からの評価・助言
大規模な組織で「働き方改革」を推進していくにあたり、経営層・管理職層の意識改革
から始め、しっかりと意識共有を図っており、組織全体として着実に推進している。また、
長時間労働縮減のための組織ごとの業務改革や有給休暇等の取得促進、子育て支援の
ための各種施策、女性社員の継続就業支援などの幅広い施策を、短期間で確実に実施
している点も評価できる。
今後、これまで時間に関係なく働いてきた経営職層・管理職層が、自身の働き方をどの
ように見直し、経営・業務遂行の責任を負う支店・職場の中でワークライフバランスをいか
に率先して推進していくのか、研修の成果に期待したい。
また、ワークライフバランス推進の要となる管理職層のさらなるマネジメント力強化や、
女性の就業継続・キャリア開発支援等の計画も、他企業のモデルとして一層推進してほ
しい。多様な施策の中で特に重点的に進めたい課題を考えてみることも有効であろう。
物流業界は、人々の生活を支える社会インフラとして長時間労働の傾向がある。こうし
た業界において、社会での役割を担いながらも、どのようにして働き方の改革を実践してい
くのか、業界における先進的な取組としても成果を期待している。
パシフィックコンサルタンツ株式会社
組織的な業務の見直しや、会議の効率化、IT環境整備等により、所定外労働時間
の削減によるメリハリの利いた生活の実現を目指しています
◆建設コンサルタント業
◆プロジェクト名:ワークライフバランス「888(トリプルエイト)プロジェクト」
委員会からの評価・助言
働き方の改革として、所定外労働時間の削減という根本的課題に焦点を定め、適切に
課題を認識し、長時間労働者への研修の実施、組織的な働き方の見直しや、IT環境整
備による移動時間の有効利用に向けた検討等、積極的に実行策を遂行している。また、
会議効率化のために、経営層が率先して、椅子を使わない「スタンディング会議」を実施
する等、トップの意気込みも感じられる。
所定外労働時間の削減は、非常に難しい課題でもあるため、削減に取り組むと同時に、
例えばチームワークで有給休暇を確実に取得させる工夫をする等、繁忙期でも休むときは
休むようなメリハリの利いた生活を実現させるための取組も同時に進めていくと、より効果
的ではないかと思われる。
次年度は、今年度の取組や従業員調査の結果を踏まえ、ワークライフバランスに関して
トライアルグループや長時間労働者へ働きかける方向から、経営陣・管理職層がワーク
ライフバランスに関する正しい認識をもち、それを社員に浸透させる方向へと、意識改革
の進め方を工夫する他、モデルグループでのIT環境整備による有効な時間活用のトライ
アル等、様々な角度から新たな取組を計画しており、さらなる事業効果を期待している。
お問い合わせ先東京都産業労働局 雇用就業部 |